渡辺淳一の『麻酔』を読みました。医療事故で愛する人を失った家族を巡るお話です。看護師さんにはぜひ読んで欲しい1冊です。

今日、図書館に行ったら、この本が目に入ったので借りました。

『麻酔』 渡辺淳一

なぜ、この本を借りようかと思ったのかというと、手術前に行われる麻酔に関する事故をテーマに書かれていたからです。

私は一応、手術室で看護師として(正確には准看護師だけれども)働いているので「興味深い」と思い借りました。

あらすじとしては、以下の通りです。

1時間ほどで終わる予定の、ごくありふれた子宮筋腫の手術を受けた福士邦子。だが、麻酔のミスで、目覚めないまま植物状態に陥ってしまう。意識が戻るようにと、夫の高伸は夜の病床で密かに愛撫さえ試みたが、邦子はいっこうに目覚めない。仕事のできる中間管理職で若い不倫相手もいた高伸だったが、突然妻が不在となった生活に戸惑い、些細な日常の中にあった幸せに気付く。
医療過誤と、それをめぐる夫婦のあり方、子供たちとの絆、担当の麻酔科医の心境、病院側の対応などを描く物語。Wikipediaより

脊椎麻酔は、全身麻酔とは異なり、患者さんの呼吸も止まらせることはないし、意識も残っている状態で手術が行われます。

脊椎麻酔は短時間かつ下腹部の手術のときに選択される麻酔方法です。

ですので、患者さんは手術もそんなに長引かないし、ハイリスクな手術ではないと思っていることが多いと思います。実際、この本の主人公もそのように思っていました。

しかし、医療事故が起こり、主人公の奥さんは長い昏睡状態に陥ってしまうのです。

この本は、医療事故の患者さんを抱える家族をめぐる話が中心となっています。

しかし私は「私がもしこのような手術を担当していた看護師ならどうしただろうか、どうすればいいのだろうか」という視点で読んでいました。

この本は何と460ページぐらいの超大物でしたが、一気に半日で読了しました。

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【ネタバレかも】この本を読んで学んだこと

この本の最後の方に、とても頭にガツン!とくる部分がありました。

自分自身があてにならない、わかりきったことを守れない、その些細なことのために大事を引き起こしてしまった。
(中略)
考えてみると、野中医師の「慣れすぎていたのです」というつぶやきは、高伸(主人公)を含めて、あらゆる人々への警告のようにもききとれる。

なまじっかよく知っていて、自信があったからこそミスをしでかした。麻酔という医学の最先端での事故が、技術のミスや器械の欠陥でなく、わずかな不注意という、人災から生じたところが辛すぎる。そのために健康だった一人の命が無残に切り捨てられ、家族のすべてが悲しみに浸る。その大事が、とるに足らぬ些細すぎることから生じたということが、切なくて悲しすぎる。

「いつも問題ないから、大丈夫だろう。」
「慣れているから」
「これぐらいなら」

という思い込みや自分への過信が、やがては大きな事故を引き起こすんですよね。

慣れ、というのは本当に怖いです。

患者さんにとって、手術というのは人生であるかないかの、とても大きな出来事です。

どんな気持ちで手術を受けるのか、家族はどのように関わっているのか等、いままでは想像上でしか理解できていませんでした。

しかし、この本を読んだ今では、手術が患者さんと家族にとって、どれだけ不安でストレスのかかるものなのか、そして手術が無事終わるのをどれだけ祈っているのかが少しだけわかったような気がしました。

『麻酔』 渡辺淳一

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